
1.車の異音は故障のサイン?
車から異音が聞こえた場合、どこかが故障しているサインなのでしょうか?
故障につながる不具合が起こっている可能性が高い
車の異音は、部品ががたついている、劣化・腐食により他の部品と接触してしまう、といったことが原因で発生するため、故障の前兆かサインとも言えます。もし異音が聞こえた場合、車に何らかのトラブルが起こっていると疑いましょう。
異音の種類ごとに症状や対処法を「2.【箇所別】異音の原因と対処法」で解説しているので、すぐに調べたい場合はこちらから確認してください。
異音の発生箇所は大きく5つ
車の異音の発生源は主に「エンジンルーム」「ドライブトレイン※(駆動系)」「足回り」です。これらの箇所の不具合は走行中の大きな事故に直結するため、異音に気付いたら、すぐに安全な場所に停車して様子を確認しましょう。さらに「排気系」と「エアコン」も異音が出やすいので、気付いたらなるべく早く点検・修理に出すことが必要です。
異音の発生箇所
- エンジンルーム
- ドライブトレイン
- 足回り
- 排気系
- エアコン
走行中に何らかの異音が聞こえた場合、それが上記5つの内のどこから発生しているのかを意識してみてください。ただし、厳密に発生源を特定することは難しく、おおよその箇所が把握できればOKです。緊急で専門業者やロードサービスに相談する際は、異音の発生箇所を答えられると良いでしょう。
※ ドライブトレイン:エンジンから受けた動力をタイヤに伝えるためのパーツの総称
2.【箇所別】異音の原因と対処法
ここでは、以下の異音の発生箇所別に異音の原因や対処法をご紹介します。
エンジンルームの異音
エンジンルームから異音がした場合、エンジン自体、またはその他の補機類にトラブルが見られる可能性があります。よくある「キュルキュル」「キンキン・カンカン」という異音の原因や対処法をご紹介します。
キュルキュル
エンジンルームから「キュルキュル」という異音がした場合は、ベルト類が緩み、滑っている可能性があります。エンジンルームには、タイミングベルト、パワーステアリングベルト、ファンベルトなど複数のベルトが搭載されています。どのベルトが不具合を起こしているのかを判断するのは難しく、いずれのベルトも走行する上で重要なパーツであるため、すぐに専門業者などの整備のプロに確認してもらうのが良いでしょう。
以下の表は、エンジンルームに搭載されている主要なベルトとその機能、故障時の症状をまとめたものです。
ベルト名 | 機能 | 故障時の症状 |
---|---|---|
タイミングベルト | エンジンで吸気・排気を行う際に必要な弁(バルブ)を動かす |
|
パワーステアリングベルト | パワーステアリング※1を適切に機能させる |
|
ファンベルト(Vベルト) | エンジンの動力をオルタネーター※2やウォーターポンプ※3、エアコンのコンプレッサー※4に伝えて機能させる |
|
※1 パワーステアリング:進行方向の調整(かじ取り)を軽いハンドル操作でタイヤに反映するための装置
※2オルタネーター:エンジンの動力を利用して発電するパーツ。発電された電力はバッテリーやその他の補機類に使われる
※3 ウォーターポンプ:エンジンを冷やす冷却水を循環させるためのポンプ
※4 コンプレッサー:冷房使用時に空気を冷やすシステムの一部分。気体を圧縮する役割を持つ
※5 オーバーヒート:エンジンが稼働する際に発する熱量が既定値を上回り、エンジンの機能に支障が出る状態
キンキン・カンカン
「キンキン・カンカン」という異音がした場合は、エンジンが冷却水の不足によりオーバーヒートしている可能性があります。オーバーヒートすると、エンジンの回転が不安定になり、アクセルの踏み込みに対して加速が合っていない、最悪の場合はエンジンが停止する、といった症状が出ます。
エンジンの音や動きに異変を感じたら速やかに路肩や駐車場などの安全な場所に停車し、エンジンを切って冷ましてください。エンジンが冷めても再度オーバーヒートする可能性があるため、JAFなどのロードサービスや専門業者に連絡して対処を相談するのが無難です。
※JAFのロードサービスについて詳しくは→「JAF ロードサービスを呼ぶ」
ガラガラ
「ガラガラ」という異音がした場合は、ウォーターポンプが故障している可能性があります。ウォーターポンプが故障すると冷却水が漏れ出すことがあり、その結果エンジンを十分に冷却できなくなり、オーバーヒートします。異音がしたら、なるべく早く専門業者に点検してもらうのが良いでしょう。
ガタガタ・ガンゴン
「ガタガタ・ガンゴン」という異音がした場合は、エンジンマウント※が劣化してちぎれている可能性があります。エンジンマウントは本来、エンジンを固定し、車体に伝わる振動を軽減する役割があるため、これがちぎれるとエンジンが暴れ回ることで異音が鳴り、周辺機器も損傷する可能性があります。エンジンマウントは自分自身で交換するのが難しいパーツなので、異音がしたら、速やかに専門業者へ点検・交換を依頼すると良いでしょう。
※エンジンマウント:エンジンを車体に固定する部品。
ドライブトレインの異音
走行中に車体から「カタカタ」「バキッ」といった異音が聞こえた場合、ドライブトレインが原因である可能性があります。特に車の速度が変わるタイミングで音も変化する場合にその傾向が見られます。症状や対処法は以下で詳しくご紹介します。
カタカタ
左折や右折する際に「カタカタ」という異音が足回りから聞こえた場合、ドライブシャフト※のベアリングが破損している可能性があります。そのまま放置しておくと、ドライブシャフトが歪んだり、折れたりして、走行不能になります。異音に気付いたら、ロードサービスなどに連絡して状況を説明し、対処方法を確認しましょう。点検・修理には専門的な技術や設備が必要になるので、専門業者に対応してもらう場合がほとんどです。
※ドライブシャフト:ドライブトレインの一部で、エンジンの動力をタイヤに伝えるためのパーツ
バキッ・ゴツン・ゴリゴリ
走行中に「バキッ・ゴツン・ゴリゴリ」といった異音が足回りから聞こえた場合は、ディファレンシャルギア※が破損している可能性があります。ディファレンシャルギアが破損・故障すると、異音に加えてハンドルを切ったときに振動が伝わることもあります。また、左右のタイヤの回転数が制御できなくなるので、カーブを曲がるときにスムーズに走行できなくなります。
異音を感じたり、操作に違和感があったりしたら、念の為ロードサービスや専門業者などに相談の連絡を入れましょう。走行を続けられるケースもありますが、もし高速道路などで突然走行不能になった場合、大きな事故を招く危険性があります。
※ディファレンシャルギア:差動装置やデフとも言われ、ドライブシャフトから受けた動力を左右のタイヤに伝達するパーツ。カーブを曲がるときにスムーズな動きができるよう左右のタイヤの回転差を制御する役割。
足回りの異音
タイヤやホイール、ドライブシャフトとホイールの間接部分など、足回りのパーツから異音が聞こえるケースがあります。段差を乗り越えたときに聞こえた場合、足回りを発生源とする異音である可能性が高いでしょう。
足回りから聞こえる「コトコト・ゴトゴト」「キー」「ゴー」という異音について、それぞれの症状や対処法を見ていきましょう。
コトコト・ゴトゴト
「コトコト・ゴトゴト」という異音が足回りからした場合は、サスペンション※1周りの部品が消耗・劣化している可能性があります。サスペンション周りに不具合があると、乗り心地やハンドル操作の応答性が悪くなることがあり、走行にも支障が出るので、異音に気付いたら専門業者に確認してもらいましょう。サスペンション周りは、複数の細かい部品で構成されているため、異音の発生源を特定しづらく、実際に点検してみないと原因が分からないケースがほとんどです。
また、サスペンション周りのほかにもホイールから「ゴトゴト」と異音が聞こえる場合があります。これは、ホイールナット※2が緩んでいる可能性があり、ハンドルを取られたり、脱輪したりする危険性があるので、安全な場所に停車してロードサービスに連絡して対処について確認しましょう。
※1 サスペンション:車体とタイヤをつなぐバネのようなパーツで、走行中に路面から受ける衝撃を吸収する役割を持つ
※2 ホイールナット:ホイールハブにホイールを装着するためのナット。ホイールハブから突き出しているボルトにホイールを装着し、ホイールナットで締め付ける
キー
ブレーキを踏んだときに「キー」という異音がした場合は、ブレーキパッドが摩耗している可能性があります。ブレーキパッドとは、ブレーキを踏む度にディスクローター※1と接触するパーツのことで、接触時に摩擦が発生することでタイヤの回転力を減らし、車を減速させます。パッドが磨耗した状態で走行を続けるのは危険なので、早めに専門業者にパッドの交換をしてもらう必要があります。※2
また、走行中に「キー」という異音がする場合はタイヤの空気圧不足や経年劣化の可能性が考えられます。放っておくと、パンクやバーストなどの原因となるので、早めに専門業者に点検してもらいましょう。なお、タイヤの空気圧点検・補充は自分で手軽に行えるので、近くにガソリンスタンドがある場合はぜひお立ち寄りください。
※ガソリンスタンドで空気圧を点検・補充する方法について詳しくは→「【初心者向け】ガソリンスタンドで空気圧を点検できる? 頼み方・頻度も」
※1 ディスクローター:タイヤの回転と連動するパーツ
※2 ドラムブレーキの場合は、ブレーキパッドではなくブレーキシューが磨耗します
ゴー
走行中に「ゴー」という異音が足回りからした場合は、ハブベアリング※が磨耗したり、がたついたりしている可能性があります。ハブベアリングは、ドライブシャフトとホイールをつなぐ部分で、タイヤの回転を円滑にする役割があります。不具合があると走行が不安定になったり、ハンドルが振動したりする症状が出ます。点検・交換には技術や設備が必要になるので、できるだけ早く専門業者に見てもらいましょう。
※ ベアリング:軸受(じくうけ)とも言われ、エンジンなどから受けた動力を効率的に伝達するためのパーツ
ゴトゴト・ボコボコ
走行中に「ゴトゴト・ボコボコ」という異音がした場合は、ショックアブソーバのオイルが抜けている可能性があります。ショックアブソーバとは、サスペンションを構成する筒状のパーツです。筒中のオイルの性質を利用し、走行中に路面から受ける衝撃を吸収しています。このオイルが漏れると、サスペンションの耐ショック機能(緩衝機能)が低下し、異音に加えて乗り心地にも影響が出てしまいます。
ショックアブソーバの故障は、純正品の場合は修理が難しいとされており、基本的には交換となります。なお、社外品の場合は修理できることもあります。新しいショックアブソーバや設備・技術が必要になるので、異常を感じたら速やかに専門業者に相談しましょう。
排気系の異音
マフラーやその周辺パーツで構成される排気系から異音が聞こえるケースがあります。以下では「バラバラ」「カラカラ」という異音について解説します。
バラバラ
エンジンがかかっている状態で「バラバラ」という異音が排気系から聞こえる場合、マフラーに穴が開き、排気ガスがそこから漏れ出ている可能性があります。場所によっては目視で確認できるケースもあるので、疑わしい場合はチェックしてみましょう。もし穴をそのまま放置しておくと、異音がさらに大きくなったり、有害物質の除去効果が弱まったりして、周囲に迷惑をかけることになります。もちろんその状態では車検にも通らないので、いずれにせよ早めに専門業者に修理してもらいましょう。
カラカラ
エンジンがかかっている状態で「カラカラ」という異音が排気系から聞こえる場合、以下3つの原因が考えられます。
- サイレンサー※1内部のパイプが外れている
- パイプのどこかに異物が入っている
- 遮熱板※2が振動してマフラーに接触している
※1 サイレンサー:排気ガス排出時に消音する役割を持つパーツ
※2 遮熱板:車の底面に設置されていて、マフラーの熱により路上の草やゴミなどに発火することを防ぐ役割がある
異音がしてもある程度は走行できるので、緊急で処置は必要ありません。ただし、放置しておくと異音はさらに大きくなり、かつマフラーが破損する可能性があります。車検にも通りませんし、周囲への騒音トラブルにもつながるため、なるべく早く処置しましょう。中には自分で点検・修理する方もいますが、専門業者に見てもらうのが無難でしょう。
エアコンの異音
エアコン使用時にも「カラカラ・キュルキュル」「ギギギ・ジー」といった異音が聞こえるケースがあります。
カラカラ・キュルキュル
エアコンを起動していて「カラカラ・キュルキュル」という異音が聞こえたら、ブロアファンモーターが故障している可能性があります。ブロアファンモーターとは、エアコンのシステムにより冷たく・暖かくなった空気を車内に送風するためパーツです。これが故障すると車内にエアコンの空気が送風されず、いわゆるエアコンが効いていない状態になってしまいます。夏にかけて車の温度が高くなりがちで、冷房なしでの長時間の運転は危険です。異変に気付いたら早めに専門業者に点検してもらいましょう。
ギギギ・ジー
エアコンを起動したら「ギギギ・ジー」という異音が聞こえる場合は、エアコンのコンプレッサーが故障している可能性があります。コンプレッサーとは気体を圧縮する装置のことで、エアコンで冷たい空気を作り出すためには欠かせないパーツの一つです。この異音に加えて、冷房が効かなくなったらコンプレッサーの故障が疑われます。点検・修理には技術や設備が必要になるので専門業者に相談するのが良いでしょう。
3.まとめ
車から聞こえる異音は部品の異常な動作が原因であるため、故障の前兆やサインと言えます。異音によっては、走行を続けられないケースもあるので、甘く見るのは禁物です。
異音の発生源は「エンジン」「ドライブトレイン」「足回り」「排気系」「エアコン」の5箇所に分けられます。異音を感じたら、その音がどこから鳴っているのかを確認し、専門業者への修理依頼やロードサービス要請などの対処を行いましょう。
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